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ネイルサロンの開業資金はいくらかかる?内訳と費用を抑えるコツをご紹介 - 黒崎えり子ネイルスクール(新宿・名古屋・大阪梅田・横浜)
ネイリストになるために学んでいる方や、現在ネイリストとして働いている方の中には、「いつか自分自身のネイルサロンを持ちたい」と夢見ている方もいるのではないでしょうか。ネイルサロンを開業すれば、店舗を自分好みの雰囲気にしたり、理想の接客スタイルを確立したりすることができます。しかし、いざ開業計画を立てるとなると、「何に費用がかかるのか」「どれくらいの費用を準備すればよいのだろうか」と疑問を抱くこともあるかもしれません。
そこで今回は、ネイルサロンを開業するために必要な費用を具体的に解説していきます。
また、開業資金以外に必要となる運営資金や開業資金を抑える方法、開業前に知っておきたい助成金と補助金などについてもご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
ネイルサロンとは?
ネイルサロンとは、ネイルケアやネイルアートなど、爪や指先への施術を専門に行うサービス施設のこと。ネイルサロンを開業するオーナーには、ネイルケア・ネイルアートに関わる技術のほか、接客や集客、従業員の育成・管理、メニュー開発など、さまざまな知識・技術が必要になります。そのなかでもとくに重要なのは、売上などの「費用管理」です。なぜなら、ネイルサロンの運営を軌道に乗せるには、サロンの収支を正確に管理し、利益を出す必要があるためです。
では、ネイルサロンを開業するにあたり第一の支出となる「準備に関わる費用」にはどのようなものがあるのでしょうか。
ネイルサロンの開業準備にかかる費用
ネイルサロンの開業準備にかかる費用は、主に「物件」「内装」「原料・備品」「その他」の4つに分けることができます。
物件にかかる費用
ネイルサロンの開業スタイルは、自宅をサロンとして利用する「自宅型」と、自宅とは別に店舗を構える「店舗型」の2種類に大別できます。ここではこの2つの特徴について費用面から解説していきますので、参考にしてみてください。
自宅型
自宅型は、自宅をそのまま店舗として利用するため、初期費用を大幅に抑えることができます。目安としては、50万円程度を初期費用として見込んでおくとよいでしょう。
なお、自宅が借家の場合、店舗として営業することができないこともあるため、あらかじめ管理会社に確認しておくことをおすすめします。また、自宅での開業になるので、立地によっては集客が思うようにいかない可能性もあります。
店舗型
店舗型の場合、自宅型に比べると初期費用が高くなる傾向にあります。なぜなら、自宅ではない分、内装やインテリアにこだわりを込めやすく、それに伴い支出が増える可能性があるため。また、賃料をはじめとする物件取得費も発生するため、概算すると自宅型より高くなるのです。
たとえば、アパート・マンションの一室を店舗とする場合、物件取得費として「前家賃」「敷金・礼金」「仲介手数料」などが発生します。テナントをはじめとする店舗用の物件を借りる場合は、「前家賃」「保証金」「仲介手数料」が初期費用として発生します。いずれにせよ、店舗型のネイルサロンを開業する場合は、自宅型よりも負担する費用の数が多いため、目安として200万円程度の初期費用がかかる可能性があるのです。
ただし、店舗型には「自分のイメージに沿ったネイルサロンを作ることができる」というメリットがあります。また、上述したように内装やインテリアにこだわることができるため、ネイルサロンならではの「非日常感」を演出しやすくなります。さらに、集客力を考慮した上で立地選びを行えるので、大々的に広告・宣伝ができて、その効果をしっかり感じられます。
内装にかかる費用
ネイルサロンの内装にかかる費用も、自宅型か店舗型かによって変わってきます。
たとえば、自宅型の場合はもともとの間取りや内装を活かすことがほとんどです。内装を整えるとしても、壁紙を張り替える程度であることが多いため、費用としては10万円程度が相場といえます。
一方、店舗型の場合は借りる物件によって内装費に差が出てきます。仮にテナントを借りるとすると、壁紙や床の張替えのほか、電気やガスの設備工事なども行う必要が出てくるため、150万円前後かかる可能性があります。これに対し、アパート・マンションの一室は内装の変更を禁止していることが多いため、そもそも内装工事に着手できないことがあります。
また、店舗型のネイルサロンには居抜き物件という選択肢もあります。
居抜き物件とは、前のテナントの内外装がそのまま残っている物件のこと。ネイルサロンの居抜き物件なら内装がそのまま使えることも多いため、平均30〜50万円と内装工事にかかる費用を大幅に節約することが可能です。
しかし、その際に注意しておきたいのがコンセプトについてです。同じネイルサロンであってもコンセプトによって内装デザインが大きく異なるため、居抜き物件でもコンセプトが違う場合は大掛かりな内装工事が必要となり、その分費用がかかることになります。
「居抜き物件=節約できる」と思われがちですが、必ずしもそうとは限らないということは覚えておきましょう。
原料や備品にかかる費用
ネイルサロン開業の初期費用には、ネイルケア・ネイルアートに必要な商材の費用も含まれます。商材費は施術メニューの内容によって異なり、ジェルネイルやスカルプなど、手広くメニュー展開する場合はその分高くなります。目安としては、20〜30万円程度を見込んでおくとよいでしょう。
このほか、施術用のテーブルと椅子、UV・LEDライト、パソコン、電話などの備品も必要になってきます。もちろん、これらの費用も商材と同様に初期費用に含まれます。具体的な費用は、店舗の規模や施術メニューによって異なるため一概にはいえませんが、目安として5万円以上かかると考えておくとよいかもしれません。
また、ジェルや筆、UV・LEDライトなどの商材は消耗品なので、定期的に購入する必要があります。開業時に高価なものを揃えすぎると今後の運営に影響を与えることもありますので、商材はコストパフォーマンスを考慮した上で選ぶのがおすすめです。
そのほかに発生する費用
そのほかの初期費用には、ネイルサロンの認知度を高めるための「広告宣伝費」が挙げられます。ただし、これは自らホームページを作成したり、SNSを積極的に活用したりすることで削減できるため、運営方法によってはゼロにすることも可能です。
なお、もし大手美容サイトなどに店舗の掲載を依頼する場合は、もちろん掲載料金がかかります。同様に、チラシやフリーペーパーなどに広告を掲載する場合も掲載料金が発生するので、あらかじめ「どれほどの支出になるのか」「費用対効果はどの程度か」をチェックするようにしましょう。
ネイルサロンを開業するにあたり、「費用計画を立てること」は必須です。仮に、費用計画を立てないままネイルサロンを開業すると、うまく立ち行かなくなり、最悪の場合は倒産してしまう恐れがあります。自らのネイルサロンを長く経営していくためにも、「初期費用としていくら用意すべきか」「運用費はどれほどになりそうか」「売上はどれくらいを目標にするのか」などを明確にしたのち、費用計画を立てるようにしましょう。
ネイルサロンを運営したあとの資金も考慮しよう
ネイルサロンを開業する際は、開業資金に加えて運営資金についても考えておかなければなりません。
ネイルサロン開業後は、毎月家賃や水道光熱費、広告宣伝費、消耗品費、通信費、人件費(従業員を雇う場合)などがかかり、内外装工事のために借り入れを行った場合は返済分もプラスされます。
たとえば、家賃15万円に水道光熱費5万円、広告宣伝費1万円、消耗品費3万円、通信費1万円、内装工事の返済金額3万円だった場合、毎月28万円はかかることになります。
水道光熱費や広告宣伝費、消耗品費は企業努力によって多少抑えることはできますが、その他の項目はサロンの利益にかかわらず毎月支払いが必要となる経費です。
すでに多くのリピーターがついていて開業1ヶ月目からすぐに予約が埋まり、利益が出る見込みであれば問題ないのですが、基本的に開業後すぐに軌道に乗るサロンは少ない傾向にあります。
そのため、サロン運営に毎月どれくらいの費用がかかるのかを計算した上で、安定した利益が出るまでの数ヶ月間の運営資金についてもしっかりと考慮した資金計画を立てる必要があるのです。
売上が経費を上回らなければサロン経営は難しいため、施術料金と想定来客数から概算の売上を算出しておき、最低でも3ヶ月分、余裕があるなら6ヶ月分の運営資金は確保しておくことが大切です。
仮に、経費と生活費を合算して月50万円の売上を想定している場合は、3ヶ月分150万円〜6ヶ月分300万円の資金確保が必要となります。
資金の準備方法
ネイルサロンを開業するには、初期費用のほかにもさまざまな費用が必要になります。そのため、なかには「そんなにお金がかかるなら開業できないかもしれない」と尻込みしてしまう方もいるかもしれません。しかし、ネイルサロンの開業資金は「借り入れる」ことで用意することもできます。
開業資金を借り入れたい場合は、銀行や日本政策金融公庫のほか、自治体が提供する融資制度を利用しましょう。銀行は審査が厳しいため、個人で借り入れるにはややハードルが高いのが特徴です。
一方、日本政策金融公庫には無担保・無保証人で融資を受けることができる「新創業融資制度」があり、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を持っていれば、融資を受けられる可能性があります。銀行より金利が低めで融資スピードも速いため、個人で借り入れる場合は日本政策金融公庫を利用したほうがよいかもしれません。ただし、融資審査では「自己資金の有無」や「信用情報」「事業計画書の内容」が重視されるため、綿密な準備が必要です。
そして、自治体の融資制度は地域によって詳細が異なるため、前もって調べておきましょう。
そのほか、クラウドファンディングで資金を集めて開業するという方法もあります。クラウドファンディングではネイルサロンを開業したい理由やその思い、コンセプト、サービス内容などを公表して支援者を募ります。
このように、開業資金は必ず貯蓄して全額を集める必要はありません。さまざまな方法で用意することができるため、自分に合った方法を見つけるとよいでしょう。
ネイルサロンの開業資金を抑える方法
せっかく独立開業するなら理想をすべて詰め込んだサロンにしたいという気持ちもありますが、内装デザインやネイル商材にこだわりすぎると開業資金は膨らみがちです。
少しでも資金に余裕を持たせるためにも、開業資金を抑える方法を知っておきましょう。
広告は自身で行う
集客する上で広告宣伝は非常に重要です。
大手広告サイトには割引制度などがあり新規のお客さまは集客しやすい傾向にありますが、次につながりにくいともいわれています。高額の広告宣伝費をかけてもリピートされなければ意味がありません。
近年はSNSにアップされた写真をもとにネイルサロンを探す方も多いため、サロンのSNSを開設したり、自らホームページを作成したりすることで、広告宣伝費を抑えて集客することができるでしょう。
SNSでは得意とするデザインやサロンの魅力をアピールするのがおすすめです。
内装やインテリアにこだわりすぎない
理想のサロンを目指すあまり、内装デザインやインテリアにこだわってしまうと、どうしても開業資金が膨らんでしまいます。
しかし、開業資金を抑えるためにすべてを安価なものにしてしまうと、どれだけこだわっても安っぽい雰囲気になってしまうため注意が必要です。
どこに費用をかけてどこを妥協するのか、しっかりと線引きしておくと費用をかけすぎる心配がありません。どうしてもこだわりたい箇所がある場合は、開業後の利益が安定してきたタイミングで、少しずつ内装やインテリアを揃えていくとよいでしょう。
ITサービスを活用する
近年、無料または低価格で利用できるアプリ・ITサービスが充実しています。
たとえば、すべての予約管理や経理作業を人力で行っていると、かなりの時間と労力を消費してしまいますが、予約アプリや会計サービスを使えば簡単に管理が行えます。
本来の業務以外に時間と労力が失われてしまっては非常にもったいないため、苦手な作業や時間がかかってしまいがちなフローは、効率化できるアプリやサービスを活用するのがおすすめです。
これまで管理に使っていた時間を施術時間にまわすことで、より売上をアップさせることも可能です。
節税のためにも青色申告承認申請書を提出しよう
確定申告には青色と白色の2種類がありますが、節税効果が高い青色は申告方法が難しいと思われがちです。しかし、会計ソフトを活用することで簡単に申請ができるので、積極的に活用するのがおすすめです。
そもそも青色申告承認申請書とは、開業届とともに税務署へ提出する書類のこと。開業届と一緒に青色申告承認申請書を提出することで、1年間の売上から最大65万円の控除を受けることができます。そのため、節税効果が期待できるのです。
一方、白色申告は事前の届出がないかわりに控除を受けることもできません。
青色申告承認申請書は、事業を開始した日から2ヶ月以内、または1月1日から3月15日までに提出する必要があります。万が一上記の期限を過ぎてしまった場合は自動的に白色申告に切り替わり、翌年からしか青色申告はできないのです。
そのため、ネイルサロンを開業する際は、開業届と一緒に青色申告承認申請書を提出しておくのがおすすめです。
なお、ネイルサロンの開業にあたって必要な届け出・資格については以下の記事でご紹介しています。ぜひご参考にしてください。
>>>併せて読みたい!ネイルサロンの開業に資格は必要?知っておきたい準備すべき8つのこと
併せて押さえておこう!ネイルサロンの開業で利用できる助成金と補助金
ネイルサロンを開業する前に、ご自身が利用できる助成金や補助金について調べておくのがおすすめです。活用できる制度をあらかじめ把握しておくことで、開業後の運営にゆとりが生まれることがあります。
ただし、助成金や補助金を受給することを前提とした資金計画を立てるのは危険です。
助成金や補助金は応募期間や審査期間があり、申請から受給までに1年ほどかかることもあるからです。基本的に申請後すぐに受け取ることができるわけではないという点は覚えておきましょう。
助成金
一定の要件を満たせば申請者全員に支給されるのが助成金です。
厚生労働省が提供している「キャリアアップ制度」は、非正規雇用のスタッフを正規雇用にした場合に賃金の一部、または人材育成にかかった経費の一部を支給する制度となっています。
そのほか、人材育成のために継続的な研修などを行っている事業主に対して賃金や経費の一部を支給する「人材開発支援助成金」、育児や介護などで休暇を取りやすい職場風土作りを行っている事業主を支援する「両立支援等助成金」など、さまざまな助成金があります。助成金の種類によって要件が異なるため、どの助成金が使えるのかあらかじめご確認ください。
>>>併せて読みたい!ネイルサロン開業予定の方必見!「助成金」について押さえておこう
補助金
審査がある公募制で、採択された申請者のみに支給されるのが補助金です。
ネイルサロン開業時に活用できる可能性のある補助金は、予約システムや顧客管理システム、 POSレジの導入に活用できる「IT導入補助金」、経営のため販路開拓(広告費・ウェブサイト関連費など)にかかる経費の一部を補助する「小規模事業者持続化補助金」、新メニュー開発に必要となる設備の導入費の一部を補助する「ものづくり補助金」などがあります。ものづくり補助金は毎年公募開始日が異なるため、利用を検討している場合はあらかじめチェックしておきましょう。
ネイルサロンのフランチャイズもおすすめ
ネイルサロンは、「フランチャイズ」として開業することもできます。知名度の高い本部なら、宣伝活動に注力せずとも満足できるほどの集客を見込める可能性があります。また、本部からサポートを受けたりアドバイスをもらったりしながら運営できるため、不安を感じづらいといえます。そのため、「初めての独立開業・経営が成功するか不安」「最初は手厚いサポートを受けつつ経営したい」という場合は、フランチャイズとしてネイルサロンを開業するとよいかもしれません。
ただし、フランチャイズを選択すると「ロイヤリティ」や「システム利用料」などの支払いが発生することがあります。ロイヤリティに関しては、固定制と売上変動制の2つがあり、本部によってどちらを採用しているかは異なるため、あらかじめ確認することが大切です。
まとめ
ネイルサロンを開業するには、初期費用と併せて開業後の運用費も用意しておく必要があります。また、その際は開業から数ヶ月先の経営状況を考慮した資金計画を立てることが必須です。「初期費用としていくら用意すべきか」「運用費はどれほどになりそうか」などを明確にしたのち費用計画を立てて、ネイルサロンを安定的に経営できるようにしましょう。広告宣伝を自分で行ったり、内装やインテリアにこだわり過ぎたりしないなど、開業資金を抑える工夫も重要です。
それでも、もし「費用の準備が間に合わない」というときは、銀行や日本政策金融公庫、クラウドファンディングのほか、自治体が提供する融資制度などを利用して、借り入れるのも一案です。無理なく返済できる金額を借り入れて、理想のネイルサロンを実現させましょう。
また、節税のためにも青色申告承認申請書の提出を忘れずに行うのがおすすめです。