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ネイルサロンの開業に資格は必要?知っておきたい準備すべき8つのこと - 黒崎えり子ネイルスクール(新宿・名古屋・大阪梅田・横浜)
「自分の理想が詰まったネイルサロンを開業したい」と夢見ているネイリストの方は少なくないはず。しかし、実際に開業するとなると「行政的な手続きは何をすればよいの?」「開業するために必要な資格はあるの?」などの疑問を抱くこともあるかもしれません。
そこで今回は、ネイルサロンの開業にあたって必要な届け出・資格についてご紹介します。ぜひ参考にしてください。
ネイルサロンの開業に資格は必要?
ネイリストは国家資格ではないため、ネイルサロンを経営するにあたり必要な資格はとくにありません。しかし、お客さまの爪や指先に施術をする仕事なので、専門的な知識や技術は不可欠です。ひとりのネイリストとして確立するためにも、そしてお客さまに安心して利用してもらえるネイルサロンにするためにも、資格は積極的に取得するようにしましょう。
なお、ネイルサロンは厚生労働省が定めた「衛生管理に関する指針」を踏まえた上で店舗づくりを進める必要があります。資格は必要ありませんが、こうした衛生管理の徹底は勧告されているため、きちんと理解しておくことが大切です。
参照:厚生労働省「ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針について」
ネイルサロン開業前に取得しておくとよい資格
ネイルサロンを開業するのに資格は必要ないとお話しましたが、資格を取得すればサロンの信頼度を高めることができます。資格は目に見える形でネイリストの技術力を示せる証です。
「ネイリストとして十分な知識と技術を持っている」「信頼できるサロンかもしれない」とお客さま(第三者)が判断するための材料になるため、決して無駄にはなりません。むしろ、新規のお客さまを獲得したり、お客さまからよい印象を持たれやすくなったりする可能性があります。
ネイルサロン開業前に取得しておくとよい資格は、主に以下の3つです。
JNECネイリスト技能検定試験
「JNECネイリスト技能検定試験」は、公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター(JNEC)が主催する資格試験です。1997年から実施されており、日本のネイリスト資格のなかで最も歴史と実績のある試験といわれています。
試験内容は筆記と実技で、3級〜1級まで用意されています。ニッパーやプッシャーなどの道具の扱いも試験の結果に関係してくるため、日々の練習が合否をわけます。
サロンワークを行うには2級以上の知識・技術が必要とされているので、サロン開業を目指す方は自分の力を試すために試験に挑戦してみるのもよいでしょう。
なお、ネイルサロンの求人では「JNECネイリスト技能検定の有資格者を優遇」としているケースもあります。その点からも、ネイル業界ではプラスに受け止められる資格だといえるでしょう。
受験資格 | 資格の特徴 | |
---|---|---|
3級 | 義務教育を修了 | ネイリストに最低限必要なネイルケアやネイルアートの基礎的な知識・スキルを有している |
2級 | 3級の資格取得者 | サロンワークに必要なネイルケア・リペア・チップ&ラップ、ネイルアートの知識・スキルを有している |
1級 | 2級の資格取得者 | ネイリストとしてのトップレベルの知識・技術を有している |
参照:公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター(JNEC)
JNAジェルネイル技能検定試験
「JNAジェルネイル技能検定試験」は、NPO法人日本ネイリスト協会が主催する資格試験で、合格するとジェルネイルの知識と技術を習得したという証になります。
試験内容は筆記と実技で、初級・中級・上級の3つのランクが用意されています。初級の実技ではポリッシュの技術力も見られるため、ジェルネイル以外のネイル技術も磨きましょう。
なお、サロンワークを行うには中級以上の知識・技術が必要とされています。
受験資格 | 資格の特徴 | |
---|---|---|
初級 | 義務教育を修了 | カラーリングやアートなどの、ジェルネイル施術の基礎的な知識・スキルを有している |
中級 | 初級の資格取得者 | ジェルオフやグラデーションなどの、サロンワークの専門的な知識・スキルを有している |
上級 | 中級の資格取得者 | デザインやスカルプチュア、ジェルチップなどの、ジェルネイルスペシャリストの知識・スキルを有している |
JNAネイルサロン衛生管理士
「ネイルサロン衛生管理士」も取得しておきたい資格のひとつです。合格すれば、より衛生面に配慮されたネイルサービスを提供できるようになるため、お客さまに安心感を届けることができます。
試験内容は講習と筆記で、18歳以上であれば誰でも受講可能です。ネイルサロンでの実務経験が問われることはないため、ネイリストを目指している方や、ネイルサロンの開業を目指している方も挑戦しやすい資格といえます。
どのようなものがある?ネイルの資格を取得する方法
ネイルの資格を取得するための方法として、以下のものが挙げられます。
ネイルスクールに通う
ネイルスクールは、大人数で学ぶスクールもあれば、個人経営のネイルサロンが開いているスクールもあります。資格取得のカリキュラムを組んでおり、かつ自分の学び方に適したスクールを選ぶことをおすすめします。
通信講座を利用する
オンラインで受講できる通信講座を利用するのもよいでしょう。とくに別の仕事をしながらネイルサロンの開業を目指している方は、スクールに通う時間を捻出するのは難しいもの。その点、通信講座なら自分のペースに合わせて学べるため、無理なく資格取得を目指せます。
独学で勉強する
独学で勉強するのもひとつの手段です。各資格試験の初級の問題であれば、独学でも十分合格を目指すことが可能です。まずは初級の資格に合格し、そこからさらに上のランクの資格を目指すかどうかを検討するのもよいでしょう。
なお、JNECネイリスト技能検定試験(3級)と、JNAジェルネイル技能検定試験(初級)に合格すると、プロのネイリストが利用する問屋で買い物ができるようになります。ネイルサロン開業を目指す方はもちろん、セルフネイルを楽しんでいる方にもメリットが大きいといえます。
ネイルサロンの開業前に準備する8つのこと
こちらでは、ネイルサロンを開業する前に準備しておくべき8つのことを解説します。
1.開業場所を決める
まずは、ネイルサロンの開業場所を決める必要があります。
店舗にするのか、自宅型にするのか、はたまた出張型にするのかによって、必要なもの、資金、宣伝方法なども変わってくるでしょう。寸前になって慌てないように、開業場所は早い段階で決めておくことが大切です。
自宅ネイルサロンの開業に興味のある方は、以下の記事も読んでみてください。
>>>併せて読みたい!自宅ネイルサロンの開業には何が必要?費用は?店舗型と比較して解説
2.ターゲット・コンセプトを決める
開業の準備を進めるためには、どのようなお客さまに来店してほしいのか(ターゲット選定)、どのような方針でお店を運営していくのか(コンセプト設計)を決めることが大切です。他社との差別化はどこで図るのかなどを決めていくと、自信を持ってお客さまをお迎えできる店舗づくりにつながります。ターゲット選定とコンセプト設計も、早い段階から着手しましょう。
3.必要な開業資金を用意する
ネイルサロンに必要な費用は、営業形態などによって異なります。記載している金額はあくまでも目安ですが、代表的な支出には以下のものが挙げられます。
物件の取得費
物件取得費は、家賃・敷金・礼金・保証金などの費用です。物件そのものの価値や立地、店舗型なのか自宅型なのかによっても物件の取得費は変わりますが、目安として50万円〜100万円ほどかかります。
内装費
店舗の広さや、どこまでこだわるかによって内装費に差が出ます。1坪20万円ほどかかると考えた場合、内装費は10坪の店舗で200万円、20坪の店舗で400万円ほどになることもあります。
設備費
ネイルサロンの設備費用はぴんきりです。安く抑えることもできますし、こだわればこだわるほど費用は高くなります。
例) ・ネイルチップディスプレイ(1万円〜3万円) ・施術用のテーブルやチェア(1万円〜10万円) ・照明器具(1万円〜10万円) ・その他家具類(5万円〜30万円) |
何にお金をかけるべきなのか、逆に予算をかけなくてもよいものは何かを考え、予算範囲内で購入するものを決めることが大切です。
消耗品費(商材費)
ジェルや溶液など、施術で使用する品を購入する予算も確保しましょう。使用するものによって購入金額は差がありますが、大体3万円〜10万円ほど予算を組んでおけば十分でしょう。
なお、新型コロナウイルスの感染症対策が求められるため、アルコールやアクリル板などの設置も見ておきたいところ(2022年現在)。そちらの費用も踏まえた上で予算を決めましょう。
広告宣伝費
開業したばかりだと認知度が低いため、ある程度の広告宣伝費をかけることも考えておきましょう。美容関係サロンの検索・予約ができるサイトの場合、掲載費は1ヶ月25,000円ほどかかります。ほかにも広告宣伝を行うと、より多くの費用が必要になるでしょう。
ホームページやSNSを作って集客するなど、費用を節約できる方法を考えることも重要です。
人件費
開業と同時に従業員を雇う場合は、人件費も必要です。人件費の目安は、1ヶ月の売上の40%〜45%ほどとされていますが、売上に対して人件費がかかりすぎると経営が難しくなります。従業員を雇うタイミングについても、よく考えることが大切です。
なお「開業資金が確保できない」「準備が間に合わない」という場合は、銀行や日本政策金融公庫から資金を借り入れることもできます。ただし、融資を受けるには審査が必要なため、必ずしも資金調達できるとは限りません。まずは相談してみることから始めてみましょう。
4.ネイル道具や機材を揃える
ネイルサロンに必要な道具や機材を揃えましょう。
<道具・機材の一例> ・ネイルチップディスプレイ ・施術用のテーブルとチェア ・照明器具 ・ステリライザー(消毒する機器) など |
店舗の規模やコンセプト、こだわりの施術内容などによって揃えるべき道具や機材は異なります。いざ開店してから買い忘れてしまったとならないよう、早めに必要なものをピックアップしましょう。
5.屋号を決める
屋号とは、個人事業者やフリーランスの方が使用する商業上の名称です。会社でいうと「会社名」のようなものだと考えたほうがイメージが湧きやすいでしょう。事務所名や商店名、ブランド名などが屋号としてよく使用されています。
ネイルサロンであることを瞬時に理解してもらえるような、魅力的な屋号を考えてみましょう。
6.ネイルサロンのロゴを決める
ホームページやSNSで宣伝・集客する際は、ロゴがあると便利です。ひと目で自分のネイルサロンだとわかってもらえますし、目にした人の記憶に残りやすいため、ロゴも作ってみましょう。自分で作るのは苦手という方は、クラウドソーシングサービスを利用したり、友人や知人に依頼したりしましょう。
7.名刺を用意する
名前・連絡先・ホームページURL・SNSのQRコードなどを記載した名刺を作りましょう。自身の写真やイラストが入った名刺なら、もらった人がひと目で誰の名刺かわかるため親切です。
また、裏に簡単な自己紹介文や趣味などのライトな情報を載せておくと、親近感を持ってもらえるはずです。
8.ホームページ・SNSを開設する
ネイルサロンのホームページやSNSを開設しましょう。現代は、インターネット上でお店を探す時代です。10〜20代に至ってはSNSで情報を収集するため、サロンの認知度を上げるためにはホームページやSNSが欠かせません。
お店の所在地や施術メニューなどの情報を載せるほか、ブログに施術の様子やネイルケアに関すること、今季おすすめのネイルカラーの情報などをアップすることで、興味を引かれた方が来店してくれるかもしれません。ブログの内容をSNSにも投稿すれば、幅広い年齢層の方にアプローチできます。
ネイルサロンの開業に届け出の提出は必要か?
ネイルサロンを開業し利益を得るのであれば、「開業届」の提出が必要になります。これは税務署に提出する届け出で、「これから所得が発生すること」を申告するために用います。
日本国民には納税の義務があるため、一定以上の収入が見込まれる場合、納税のための手続きが必要です。ネイルサロンを本業として経営する場合は年間38万円以上、副業として経営する場合は年間20万円以上の収入があるならば、開業届を提出するようにしましょう。
なお、詳細については、国税庁のサイトをご覧ください。
ネイルサロンを開業するうえで届け出は提出したほうがよい?
「ネイルサロンを開業するには、開業届を提出する必要がある」と述べましたが、これは必須ではありません。届け出を提出しないことで、何かしらの罰則が発生することはないのです。
ただし、前述したように一定額以上の収入がある場合は届出が必要となるので注意しましょう。また、営業形態によっても届け出の提出における必要可否は異なるため、あらかじめ各自治体の税務署をチェックしておく必要があります。
とはいえ、ネイルサロンの経営者の中には、開業届を提出していない事業主がいるのも事実です。では、ネイルサロンが納税対象以下の収入を見込める場合に、届け出を提出するメリットにはどのような点があるのでしょうか。ここでは、届け出を提出するメリット・デメリットについて解説します。
開業の届け出を提出するメリット
届け出を提出するメリットには、「青色申告ができるようになる」という点が挙げられます。
青色申告とは、日々の取引を帳簿記帳し、その記録にもとづいて確定申告する制度です。税制面で控除を受けることができるほか、家賃や電気代、インターネット料金などを経費として計上することができるため、結果として節税を実現しやすくなります。
そんな青色申告は、開業届を提出している事業主しか利用できない制度です。つまり、開業届を提出しないことには青色申告ができないほか、そのメリットも受けられません。そのため、もし「節税に注力したい」ということであれば、ネイルサロンを開業するにあたり開業届を提出したほうがよいといえます。
なお、届け出を提出するメリットにはほかにも、「屋号名義の銀行口座を開設できる」「保険や共済に加入できる」といった点が挙げられます。
開業の届け出を提出するデメリット
開業届を提出するデメリットには、「失業手当を受給する資格を失う」という点が挙げられます。開業届を提出したタイミングで受給資格を失うため、もし受給資格を持っている(会社勤め)場合に、副業としてネイルサロンを経営するなら、届け出を提出するタイミングに十分注意しましょう。
このほか、「収入額を問わず、健康保険の扶養から外れる可能性がある」という点も開業届を提出するデメリットのひとつです。加入している健康保険の種類によって詳細は異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。
実際に開業の届け出を提出する
節税面を踏まえると、開業届は提出しておくに越したことはないといえます。では、開業届は「いつ」「どのようにして」提出すればよいのでしょうか。以下で詳しくご紹介します。
届け出の提出が必要になるタイミング
国税庁は、開業届の提出時期を「原則として事業の開始などの事実があった日から1ヶ月以内」と規定しています。ただし、必ずしもこの時期に合わせて提出しなければならないわけではありません。遅れても罰則があるわけではないため、「趣味の延長としてネイルサロンを始めてみたい」と考えている方は、本格的に個人事業として取り組むと決意したタイミングで提出してもOKです。
とはいえ、収入があるにもかかわらず開業届を提出しないまま経営を続けていると、罪に問われる可能性もあります。そのため、なるべく早めに提出することを心掛けましょう。
届け出を提出する手順
ネイルサロンを開業するにあたり届け出を提出する際は、「開業届」「印鑑(認印可)」「青色申告承認申請書」「マイナンバーカード」「本人確認書類(運転免許証など)」の5つが必要です。
開業届の書類自体は、国税庁のホームページからダウンロードできます。青色申告承認申請書は、青色申告による確定申告を望むのであれば必要になるため、その場合は忘れずに準備しましょう。
提出の手順としては、まず開業届と青色申告承認申請書に必要事項を記入します。そのあと、税務署へ行き、開業届と青色申告承認申請書を提出すれば完了です。窓口にて本人確認を行うため、その際はマイナンバーカード、または本人確認書類を提示しましょう。
なお、届け出は郵送でも提出できます。ただし、初めてでわからないことが多い場合は、窓口まで足を運び、相談・確認しながら提出したほうが安心です。
まとめ
ネイルサロンを開業するにあたり、一定以上の収入が見込まれるのであれば開業届を提出する必要があります。また、青色申告を希望する場合も開業届の提出が必要になるため、「どのように確定申告をしたいか」をよく考え、届け出を提出するか否かを判断しましょう。
くわえて、ネイルサロンを開業する際は、なるべく資格を取得することをおすすめします。もし「自分ひとりだと資格の勉強に集中できない」というのであれば、ネイルスクールを利用するのも一案です。専門知識・技術に長けた講師から直接指導を受けられるため、効率よく試験対策を行えます。